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環境 印刷 Eメール
評価基準 評点
現時点の到達点についての実績評価(40点) 形式要件(20点) 7
実質要件(20点) 6
実行過程(30点) 10
説明責任(30点) 10
合計(100点) 33

評価の視点

   環境政策における評価の視点は以下の3点である。
①温室効果ガス削減に向けた中期目標(2020年)と長期目標(2050年)を達成し、低炭素社会への移行を裏づけとなる国内制度構築は進んでいるか
②「ポスト京都議定書」の枠組みづくりのためのCOP16(第16回気候変動枠組条約会議)及びそれに向けた国際交渉において、主導的な役割を果たすことができたか
③名古屋市での生物多様性COP10(第10回生物多様性条約締約国会議)において議長国としての責務を果たせたか
 

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実績評価

   民主党は2009年の衆議院選でのマニフェストにおいて、1990年比25%削減という中期目標を掲げるとともに、「キャップ&トレード方式による実効ある国内排出量取引市場の創設」、「地球温暖化対策税の創設」、「全量買い取り方式の再生可能エネルギー固定価格買取制度の導入」など各国で主要な流れとなっている手法を取り入れて、地球温暖化対策に実効性を持たせようとした。
   これらを推進するため鳩山前政権では2010年3月12日に地球温暖化対策基本法案を閣議決定し、第174国会に提出し、5月18日に衆議院で可決されたものの、6月に第174国会閉会のため廃案となった。第176国会に菅政権の下で法案は再提出されたものの、全く審議されることなく国会閉会とともに継続審議となった。気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)における交渉において国際的な合意を目指す上でも、また国内対策としても2013年以降に空白期間なく実効性ある排出削減策へとつなげていくためにも、基本法案の年内成立が必要であったが、この法案を通すための菅政権および首相自らの政治的リーダーシップは全く見られなかった。
   この基本法案は、日本の温室効果ガス排出量の中期目標として「2020年までに1990年比25%削減」を掲げ、また長期目標として「2050年までに1990年比80%削減」を掲げている。ただし、中期目標には、「すべての主要国による公平かつ実効性ある国際的枠組みを構築するとともに、温室効果ガスの排出量に関する意欲的な目標について合意したと認められる場合」に設定されるものとしている。また、基本的施策として、国内排出量取引制度の創設、地球温暖化対策のための税の検討その他の税制全体の見直し(税制全体のグリーン化推進)、再生可能エネルギーに係る全量固定価格買取制度の創設などが掲げられている。税制全体のグリーン化の推進においては、地球温暖化対策のための税について、平成23年度の実施に向けた成案を得るよう、検討を行うこととした。
   しかしながら、2010年12月の民主党の提言によって、上記主要三施策の導入に関し、民主党のマニフェスト及び2010年3月の閣議で地球温暖化対策基本法案を決定した際の内容が覆され、大きく後退している。とりわけ国内排出量取引制度については、当面の間、導入を凍結する方向が検討され、地球温暖化対策基本法案の「1年以内を目途に創設する」としたことを実質的に取り下げようとしている。また、再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度についても、再生可能エネルギーの普及を抑制する、不完全な制度にするべきとしている。
   さらに地球温暖化対策税(環境税)については、2011年度10月から化石燃料へ課税(石油石炭税の増税)し、初年度の税収規模は350億円とし、段階的に引き上げて2015年度には2400億円規模とする方針が政府税制調査会によって決定された。これは2009年11月に環境省が「税収規模1兆円」の案を示したいてことと比較してもきわめて小規模にとどまる。全面導入時でも環境税相当部分はガソリン1リッター当たり0.76円に過ぎず、温室効果ガス削減のインセンティブ効果はきわめて限定的なものにとどまるであろう。
   地球温暖化対策に関する主要三施策の導入は、25%削減目標とあわせて民主党政権が政権交代時に掲げた重要政策である。マニフェストでそれを約束し、基本法案策定の中で閣議決定された。これが、国民の見えないところで大きく方針転換され、著しく後退している。
   メキシコのカンクンで2010年12月に開催されたCOP16において、日本政府は冒頭、「いかなる条件、状況下でも京都議定書の第2約束期間の下で目標を書き込むことには絶対合意しない」という非妥協的な発言をし、各国政府やNGOから、その非建設的な交渉姿勢に強い批判を浴びた。しかしながら、最終的には、交渉成立に向けて建設的な歩み寄りをし、合意に協力した。カンクン合意では、最終的な法的形式については決定できなかったが、京都議定書・気候変動枠組条約それぞれの決定で、コペンハーゲン合意で各国が提出した目標や行動が記載され、京都議定書の下では、第2約束期間の間と空白を空けないよう、削減数値目標設定に向けた作業が必要であることが合意された。これによって、第2約束期間の合意をしていく道が開かれ、2つの枠組みを作っていく流れが明らかにされた。カンクン合意によって、国連の多数国間枠組みは、かろうじて危機を脱し新たな息を吹き返した。国連の枠組みは、世界全体の排出削減を進め、国際的な正当性を確保できる唯一のフォーラムである。来年のCOP17の成功を実現するため、日本は、国内政策を整備するとともに国際的な協力姿勢で交渉に臨むべきである。
   一方2010年10月に名古屋で開催された国連の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は、10月30日、2020年までの生態系保全の世界目標「愛知ターゲット」と、生物遺伝資源の利益配分を定めた「名古屋議定書」を採択して閉幕した。最後まで途上国と先進国の対立が続いたが、議長を務めた松本龍環境大臣の議長案によって会議の決裂が回避された。生物多様性保全に向けた世界的な取り組みを方向性の合意がなされ、議長国としての責務を果たせたといえる。
 

実行過程

   鳩山前政権では「地球温暖化問題に関する閣僚委員会」や「副大臣級検討チーム」、その下にいくつかのプロジェクトチームが設けられ、政治主導で政策に取り組む姿勢を見せた。菅政権でもこの枠組みは基本的に継続されているが、民主党政調における族議員的な活動の復活により、政治主導が利益誘導型政治に逆行している。政治主導に実効性を持たせるには閣僚委員会や副大臣級検討チームへの明確な権限付与が必要である。また、菅政権発足以降、首相自らの環境政策面でのイニシアチブは、諫早湾開門問題を除き全く発揮されていない。
 

説明責任

   菅政権の環境政策は鳩山前政権の内容を基本的に引き継いでいると思われるが、そのことに関する明確な説明はほとんどない。参議院選挙におけるマニフェストにおいても、環境政策独自の項目はなく、強い経済の項目の中で、再生可能エネルギーの固定価格買取制度などが言及されていたにとどまる。概して就任以降、菅首相自ら環境政策を語ることはほとんどない。2010年9月にニューヨークで開催された生物多様性サミットにおいても、COP10の議長国日本の菅首相は出席せず、名古屋会議でも菅首相の関与はきわめて形式的であった。このような機会は、一国の首相として地球社会と地球環境についてビジョンと抱負と世界に示しうる貴重な場であったにもかかわらず、みすみすチャンスを逃してしまっている。
   また、麻生政権、鳩山政権でも取組が示された、環境投資による経済と雇用の活性化(グリーン・ニューディール)の方向性についても、菅政権としての政治的メッセージが全く出されていない。

 

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