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新しい公共 印刷 Eメール
評価基準 評点
現時点の到達点についての実績評価(40点) 形式要件(20点) 15
実質要件(20点) 3
実行過程(30点) 3
説明責任(30点) -5
合計(100点) 16

評価の視点

   「新しい公共」関連政策は、民主党が最も力を入れた政策のひとつで新成長戦略、平成23年度予算、市民公益税制に反映された。しかしながら、政策目標がきわめて曖昧で、それにもかかわらず大きな予算案が各府省より提示された。また、寄付税制改革案も打ち出されたが体制面等に問題を残している。そこで、こうした進捗を踏まえ、・予算案を裏打ちする政策目標があるのか、・制度案は非営利セクターの実態を踏まえたもので、実行可能性があるか、そして、政策の実施過程において散見された、・資金の流れや新たな法人制度にかかる説明責任上の課題を評価の視点とする。
 

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実績評価

<形式要件>
   菅政権は「新しい公共」政策を「新成長戦略」(2010年6月18日)の「雇用・人材戦略」のカテゴリーの中に位置づけ、「国民参加と「新しい公共」の支援」「新しい公共」というタイトルで方針を打ち出した。その内容は、鳩山政権下の「新しい公共」円卓会議が出した宣言文と政府対応案を踏襲したもので、社会的企業の育成や金融制度の見直し、寄付税制を中心としたものである。
   9月には平成23年度予算編成にむけて、概算要求と要望枠(新たに創設された予算枠)あわせて「新しい公共」関連予算3200億円が各府省から出され(内閣府とりまとめ)、このうち内閣府が提示した「新しい公共支援事業」予算は前倒しで、平成22年の補正予算として88億円が措置されることが決まった。ただし、24日に決定した平成23年度予算および政策コンテスト等をみると、88億円の補正予算を除き、どれが新しい公共に該当する予算なのかよくわからない。
   また11月末には「新しい公共」推進会議(推進会議)が新メンバーで発足され、民主党内では鳩山議員を長とする「新しい公共調査会」が発足した。12月1日には、政府市民公益税制PTより寄付税制に関する報告書が出され、16日にはこれらの内容を盛り込んだ平成23年度税制改革大綱が発表された。
菅首相自身は「新しい公共」については、マニフェスト、所信表明演説において明確なメッセージを出していないが、鳩山政権時代の方針をそのまま引き継ぐかたちで、新成長戦略に反映し、寄付税制を決定し、平成23年度予算を編成した。以上から、形式的には「新しい公共」政策を進めていると判断した。

<実質要件>
   新しい公共関連予算は「予算の概算要求組み換え」の特別枠のテーマとして設定され、文部科学省、経済産業省、経済産業省、内閣府など各府省がこぞって予算案(特別枠および概算要求)を提示した。予算案は、鳩山元首相の「新しい公共」円卓会議で出された政府対応案に沿って作成されているが、予算全体の目的はきわめて曖昧である。予算書「「新しい公共」円卓会議の提案と制度化等に向けた政府の対応」の冒頭には、新成長戦略で掲げられた国民参加割合5割、共助の精神で参加する公共活動を応援するなどが記されているものの、各府省が出した予算案とこれらの目的との整合性が希薄である。平成23年度予算や政策コンテスト等をみると、内閣府がとりまとめた3200億円の予算がどれに該当するのかがわからず、明確に確認できるのは補正予算化された内閣府の88億円のみである。各府省は思いつく予算案に「新しい公共」の名をつけて提示した印象は否めず、この状態では「新しい公共」関連予算のみならず、政策の実行過程や成果を検証することは難しい。また小規模な組織が短期間で大量の公的資金を受取ると、組織の運営や持続性を損ねるといわれているが、NPOセクターへの影響も危惧され市民社会を活性化するとは考えがたい。
   今年度の補正予算として措置された内閣府の「新しい公共支援事業」予算(88億円)は、都道府県に2億円程度に分けて交付される予定であるが具体案は定まっていない。また、補正で措置されるほどの緊急性があるとは思えず、この点については国会において自民党から質問が出されている。
   「新しい公共」円卓会議で提案された社会事業法人制度については、平成23年度予算案の中で3000万円の調査費が計上されている。本制度は無配当の株式会社制度で、投資家には税額控除が付与されるというものである。株式が譲渡可能な場合、悪用の危険性もある。
   寄付税制に税額控除が導入されることになったが(所得控除との選択性)、所得税から寄付金額の50%(所得税額の25%を上限)が減免されるというものである。中所得者の小口の寄付にメリットがあるが、高額所得者へのメリットは低い。この制度は、パブリック・サポート・テスト(PST)にパスした認定NPO法人、公益法人、学校法人、社会福祉法人、更生保護法人に適用され、特にNPO法人については、PST基準を満たさなくても仮認定を付与する制度も決定した。寄付税制は具体的な進展がみられるものであるが、気になるのは過去7回の制度改正の検証や十分な実態調査がない中で行われている点である。
   平成21年度補正予算で措置され、2010年4月より実施されている「地域社会雇用創造事業」は、個人に補助金を支給するスキームであるが、政策目標(想定される就職者数、起業数、分野など)が不明なままにこうしたスキームを実施するとバラマキになる可能性がある。
 

実行過程

   「新しい公共」関連予算は政策コンテストによって取捨選択されており選考プロセスは形式要件にのっとっている。しかし相変わらず政策目標は曖昧なままである。平成22年度の補正予算として措置されることになった「新しい公共支援事業」の直接の担い手は都道府県であるが、具体的な使途が明確でないため混乱を招く可能性がある。
   11月より「新しい公共」推進会議が発足しメンバーは一新されたが、目下の議論は、寄付税制に集中しているがこれまでに比較して市民よりの議論が展開されている。
   寄付税制についてはNPO法人に焦点をあてて検討されてきたが、12月の最終報告書で、PST(絶対基準)にパスした公益法人、学校法人など複数法人に税額控除の適用が盛り込まれたが、唐突な感は否めず、したがって議論のプロセスが不透明である。また、NPO法人より厳しい認定要件を課せられている他法人になぜPST基準を設けたのか、その根拠は不明確である。PSTの絶対基準として、3000円以上の寄付を100人以上集めることが掲げられたが、これらの数字の根拠は何に基づくものなのか、いまひとつはっきりしない。こうした根拠の曖昧さは、制度導入の効果の検証や対象セクターの実態調査の不足からくるものである。NPO関連調査は内閣府、経済産業省で行われてきたが、こうした基本的な調査も行うべきである。さらに、認定主体を国税庁から都道府県に移管することになったが、仮認定方法とその事後チェックの詳細が決まっておらず、都道府県関係者の当惑は隠せない。
   地域社会雇用創造事業は70億円の予算が措置され4月より開始されたが、14のNPO、自治体に10億円から1億円規模の業務委託によって実施されている。しかし、実際にはこれらの団体から下請け、孫受けに出すことで実施されており、どの受託者の事業であるのか見分けることができない。また、事業の内容は、講義を受けた後にNPOや社会的企業にインターンをした者に10万円、起業コンテストをパスした者に300万円を上限に補助金を出すというものである。しかし、講義は5回程度で、これでどの程度の受講者が起業や就職を実現できるものか疑問である。また、厚生労働省の雇用対策事業は地域社会雇用創造事業とその内容が似ており、現場では区別はついていない。省庁間の予算重複の感を否めない。
 

説明責任

   「新しい公共」関連予算、「新しい公共」推進会議等の議論は動画とホームページで公開されており形式的な条件は整えられている。
   他方で、資金の流れや議論のプロセスについては疑問がある。地域社会雇用創造事業については実質要件において問題があることを指摘したが、資金の流れについても問題がある。受託事業者から下請け、孫受けに出す構造のため、資金の流れをトレースしにくい仕組みになっている。また、受託団体には内閣府関係者の団体や「新しい公共」円卓会議メンバーの団体が含まれており、利益相反の観点から好ましくない。「緊急雇用対策なので明確な目的がない」という関係者の発言があったが、厚生労働省の緊急雇用対策の場合には数値目標が設定され、体系性が担保されていることから、こうした発言は説得性に欠ける。
   「新しい公共」円卓会議、「新しい公共」関連予算で提示されている「社会事業法人制度」は、円卓会議メンバーによって提案されたものではない。発言・提案の権利のない円卓会議事務局員が3度にわたって提案したもので、円卓会議メンバーからは反論も出ている。また、前述のように、投資家への税額控除が付与された場合、悪用の可能性も孕んでおり、説明責任上、深刻な問題に発展する可能性もある。

 

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