政策にかかる現状と課題(行政改革・公務員制度改革) 印刷

   評価の前提として踏まえる必要があるのは、主に小泉政権下での動向である。橋本内閣は省庁再編等の改革に取り組んだし、森内閣の下でも「行政改革大綱」が閣議決定(2000年12月)されるなど、行政機構の見直しは常に存在した。しかし、小泉政権の下の行政改革では、政府支出の削減、効率化・合理化、政府部門の切り離しなどの要素が特に強く見られ、「小さな政府」「官から民へ」の流れが顕著であった。それは2006年に成立した行政改革推進法に結実し、特別会計や独立行政法人の整理・見直し、民営化を含む政策金融機関の改革、公務員の総人件費の削減などにつき、比較的明確な期限や目標が定められた。以降の政権でもその枠組みに沿い、政策が展開されている。
   一方で、昨今の経済危機への対策によって、政府部門の規模は大幅に拡大した。政投銀や商工中金の民営化先送りが立法により決定され、21年度補正予算ベースでは独立行政法人への政府支出や財政投融資の規模が再拡大に転じている。もちろん緊急的な対策の色合いが濃いのは事実であるが、「小泉構造改革路線の見直し」などというフレーズに見られるように、「小さな政府」から転換するべきだという論調も存在する。
   以上のような状況を踏まえると、まず始めに、行政改革の理念、つまり行政改革により何を目指し、政府の機能をどのようにデザインするのかを改めて定義することが、今回の総選挙において必要とされる。野党である民主党は、まさにこの形で有権者に明確な説明を行うべきであるし、自民党であれば、今までの「小さな政府」路線をどこまで継承するのか、方針転換を行うとすれば政府の役割を新たにどう設定するのかが問われる。その上で、それを実行する手段が具体的に示されているか、それは目的と整合性の高い、妥当なものであるかどうかも問題となる。
   その他、本稿では公務員制度改革についても扱う。公務員制度改革が具体的な動きとして本格化したのは安倍政権以降であり、政治主導の推進、能力主義的な人事制度、再就職規制、労働基本権の見直しなど、幾つかの論点が存在する。現在は公務員制度改革基本法の規定に従って、具体的な制度改革を行う段階にあり、今年3月に内閣から国家公務員法等改正案が提出されたが、継続審議となっている。
   公務員制度改革については、いわゆる「天下り」など特定の論点に即して言及されることが多いが、本来は採用、人事慣行、処遇などの諸々の要素を含むシステムであり、行政をより良く機能させることを主目的としているはずである。従って、今回の選挙では、公務員制度全体としての目的と、その実現のための政策案について、改めて説明が行われるべきである。

argaiv1942

⇒前のページに戻る