2日目ランチフォーラム 印刷 Eメール

 9月16日午前に開かれた全体会議の終了後、フォーシーズンズホテル4Fにて、中国共産党中央政策研究室副主任の鄭新立氏をスピーカーとする、非公開のランチフォーラムが行われました。ランチフォーラムには、パネリストを中心にメディアなど日本側の有識者が出席し、第4回東京ー北京フォーラム企画委員長代理で慶應大学法学部教授の国分良成氏が司会を務めました。

 まず、国分氏の紹介を受けた鄭氏が、中国の政治・経済の現状についての認識を述べました。鄭氏は、2008年が中国の改革開放30周年であることを踏まえた上で、30年間に得た経験/中国がもつ経済発展のポテンシャルとそれへのチャレンジの現状/今後の中国経済発展の展望、それぞれについて話しました。

 はじめに鄭氏は、改革開放30年で得た経験に関して、中国は市場志向のもと、政府のスリム化を進め市場経済の仕組みを取り入れることで、「大釜の飯」と言われていた旧体制を改革したと述べました。そして、真面目に合理的に働いた人が先に豊かになることを許したこの改革が、経済発展の原動力につながり、現在では中国市場は価格のオープン化については先進国を超えているとの認識も示しました。

改革の具体的成果として、鄭氏は、農村の生産請負制による農業生産の供給増加・所有権の多様化を通じた国有企業改革・マクロ調整による物価安定などを挙げました。その上で、今後も改革と発展を目指し、沿岸部の改革・外資の導入などにより、中国の資本・労働・土地を結びつけ、対外的にもウィンウィンの関係を築いていくと述べました。

 次に、中国のポテンシャルと現状のチャレンジについて、鄭氏は、中国が持つポテンシャルとして、市場の需要ポテンシャルが依然として大きいこと・イノベーションの強化・産業構造のグレードアップ・労働力の向上などを指摘しました。一方で、今後チャレンジしていくべき課題として、投資と消費のアンバランス・第三次産業の立ち後れによる雇用問題・都市と農村部の格差を挙げました。

 これらのことを踏まえて、鄭氏は、今後の中国経済の展望についての認識を述べました。鄭氏は、中国が歴史的で持続可能な発展観を持っており、それは「人間本意」で、自然と人間・都市と農村などの調和がとれた社会主義の発展を目指すものだと指摘しました。

その上で、具体的な方針として、1.投資と輸出に頼るこれまでの発展から、投資・輸出・消費があいまった、国民が利益を享受できる発展への転換、2.第三次産業の発展と農業の近代化、3.産学連携を通じた、技術革新と労働者の能力を高めるイノベーション、4.「工業をもって農業を促し、都市をもって農村を引っ張る」ことで都市と農村の発展計画を一元的につくりあげる、5.各種の社会事業による調和のとれた社会主義の実現、を挙げました。

 最後に、鄭氏は、これからの中国は矛盾に直面するが、それを乗り越えることで、持続的な発展を目指すと述べ発言を締めくくりました。

 

  その後は、質疑応答が行われ、参加した日本の有識者からは、今後の中国の発展に向けて財政状況や為替をどう見るかという点や、サブプライム問題の影響はあるのか、「調和のとれた発展」の「和」とは何を意味するのか、などについて質問があり、活発な議論が行われました。

 これに対し、鄭氏は、財政収入は年率20%で伸びており、建設国債などの発行を現在は考えていないこと、人民元は自由化への流れはできており、貿易黒字の増加に伴う関税引き下げの可能性があることを述べました。また、サブプライム問題については、大きな悪影響はなく、むしろ海外からの人民元への投資を増やすことにつなげたいと述べました。またこの点については、「金融分野での安全保障」を目指し、通貨における日中協力の可能性を探りたいと指摘しました。