3日目全体会議:分科会報告(政治対話) 印刷 Eメール


周牧之(東京経済大学教授、マサチューセッツ工科大学客員教授) 


 今回の政治対話は、前半を初日の全体会議の中で行い、後半は学生にも参加してもらって東京大学で行いました。昨年は中国の北京大学で開催したのですが、その時は
400人以上の申し込みがあり、そこから絞って290人に集ってもらいましたが、会場はあふれかえり、積極的な質疑が行われました。しかし今回の東京大学では、会場ががらがらで95人の参加にとどまりました。
 これはどういうことと理解すればいいのでしょうか。私は現在、米国の大学にいますが、米国でも同じことをすれば満員になるでしょう。
 原因としては二つのことが考えられます。一つは周知がうまくできなかったということ。これならば次回に改善することができるでしょう。二つ目は、日本の学生たちにとってこのテーマに関心が無かったということ。こちらはすぐには改善できません。自分たちの未来の問題に敏感でないということだからです。
 いずれにしても、この件についてはぜひ調査をして、来年以降に生かしていくべきだと思います。
 議論そのものについては、松本先生から詳しい報告があると思いますが、私はアジアの未来について大胆に考えていきたい。中日だけでなく、将来はアジアとしての共同体構築、共通の市場、通貨、交流ができないかと考えています。それは時期尚早という意見もあるようですが、夢を語り、ビジョンを考え、青写真を作っていきたいと思っています。




松本健一(評論家、麗澤大学経済学部教授) 


 日中両国は東アジアの中で、どちらも存在感がある国です。東アジア共同体を考えるときには、日中どちらが主導権を握るのかという議論になりがちです。しかし、出席した両国の政治家諸氏からは、いずれも覇権を考えてはいないということが表明されました。また、東アジア共同体ということでは、どうしても共通の理念を想定しなければなりませんが、そこまで一気にいくのはかなり難しい。それよりも、現実的に協力できるところ、たとえば環境やエネルギーなどについて共同利用や実務的機関の設置などを検討したほうがいいということでした。私は昨年も申し上げましたが、アジア・コモンハウスという実務的な処理機関の設置を提唱しています。
 ヨーロッパの
EUも、そのスタートは鉄と石炭の共同利用からスタートしました。まずは日中両国が環境の共同保護やエネルギーの共同利用を開始し、それをアジア全域に広げていく、これならば実現できるのではないでしょうか。
 現在、領土問題として竹島や尖閣諸島が挙げられますが、そもそも領土問題というのは西欧的領土概念から出てくるもので、アジアでは昔から共同利用の時代がありました。西欧的概念ではなく、アジアの未来には、アジア的な考え方を再考する選択肢があってもいいのではないかと考えているところです。