3日目全体会議:分科会報告(メディア対話) 印刷 Eメール


木村伊量(朝日新聞社メディア研究プロジェクトマネージャー) 


 今年はメディアにとっても一つのエポックで、中国では大地震、ギョーザ問題、北京オリンピックなどさまざまな出来事があり、これらがまた相互理解の足がかりとなるものでした。
 今回の世論調査では、中国側の変化は全て日本にプラスに表れていましたが、日本側のほうは、逆に中国のイメージがマイナスになっていました。それはなんといっても日本の国民が、ギョーザ問題に代表される食の安全について、大きく反応したためでしょう。
 このギョーザ問題の報道については、中国側は政治問題と判断します。日本側は生活レベルで考える。そこに食い違いがあるために、繰り返し議論になりました。
 中国側は、現在調査中で結論が出ていない事柄に対して、決め付けたような報道をすることは感情的で客観的ではないと見ます。日本にだって、汚染米の問題があるではないか。それよりも、日中関係の重要度を考えて、慎重に報道することはできないのかと。
 それに対して日本側は、中国は日本に責任を押し付けて早々に幕引きを狙っているのではないかと不信感を持つ。政府が発表する前に警鐘を鳴らすのがメディアの役割ではないか。
 ここに日中メディアの社会正義のとらえ方の違いがあります。
 日本は、小さいところから見ていく市民重視の考え方。中国は大局から見ていき、市民をやや下に見るとらえ方。これは国益と公益の問題でもあり、中国は国益と公益をイコールと考える。日本は国益と公益を対立的に考える。ですから中国メディアには世論を誘導する意識があるのに対して、日本は素材を提供するのがメディアの役割と認識しています。
 とすると一つ疑問が出てきます。中国の世論調査で、いつも日本が軍国主義と考えている人が多いのはなぜなのか、南京大虐殺が日本の第一のイメージになるのはなぜなのか。
 とはいえ、継続は力です。この課題も、来年につなげていきましょう。



馬為公(中国国際放送局副編集長、高級編集者) 


 メディア分科会は、
5時間半にもわたり、活発でたいへん盛り上がった議論が行われました。インターネットではリアルタイムで報道されましたし、NHKではいずれ1時間の番組として放送されるようです。その時には、ぜひ公平に報道されるよう望みます。
 この分科会の議論は、ギョーザから始まりました。ギョーザ対話です。それによって、メディアの役割についての認識の違いが明らかになりました。メディアの社会的責任とは何か。大局から考えるのか、小異を問うのか。
 この間、中国では、新華社にしても、人民日報にしても、ネットニュースにしても、日本の変化を報道してきました。メディアは世論形成するのでしょうか。それとも、それ以前にイメージが出来上がっているのでしょうか。
 中日関係は改善されているのに、メディアは何をしているのでしょう。大所高所に立って、客観的に報道すべきではないのでしょうか。
 先ほど日本のメディアは国民の声を重視して報道する、中国のメディアは政治的な立場に立っているという指摘がありました。しかし、中日問題は重要だからこそ、大局から報道する、それが双方の国民の利益に合致するのだから、国政と民生は一体であるというのがわれわれの考え方です。
 確かに双方の見解に食い違いはありますが、共通点もあり、理解を深め合うことができました。この共通点をコンセンサスに、今後とも交流を深めていきたいと思います。