3日目全体会議:分科会報告(安全保障対話) 印刷 Eメール


金熙徳(中国社会科学院日本研究所副所長)


 この分科会では、前半を伝統的な安全保障について、後半では非伝統的な災害援助協力活動などについて話し合いました。
 現在の状況は、前者の軍事競争的な要素から、後者の協力、つまり平和的、友好的な活動に移行している時期ともいえます。その時に、率直な議論が交わされ、明るい未来が見えてきたように思います。
 また、今回は初めて、日中ともに、現職の将軍が参加されました。議論の成果は、両国の軍事政策にも影響を与えるでしょう。互いに、相手国の意図を理解できたと思います。
 中国の軍事力が増大しているといわれますが、それは経済の増大に見合ったものです。脅威論は誤解に基づいています。これからは、米国を含めて、東アジアの安全の枠組み作りをしていくべきだと思います。中国も、より一層軍事費の使い道を説明していきます。
 また、四川大地震の援助の時、日本の軍用機が中国に来れなかった問題ですが、これは軍事交流だけで解決できるものではありません。中国側も残念に思っていますが、国民感情との関係があります。それを解消するためには、地域と世界の安全保障について共通認識を持ったり、多方面で交流の環境を整える必要があります。まずは、士官の相互派遣、学術共同研究、
PKO、援助協力などが考えられます。
 四川大地震の援助については、中国人もたいへん感謝しています。日本の援助隊が、発見された死者に脱帽して礼をとっている姿がテレビで放映されましたが、大きな反響がありました。いつもはマイナスの反応が多いネツトの世界でも、このときばかりはプラスの反応であふれていました。
 これからは日中2者の
winwinを越えて、マルチの(地域の) winwinへ努力していきましょう。



西原正(財団法人平和安全保障研究所理事長)


 金さんがおっしゃったように、この分科会では、前半で国防政策が議論されて日中で意見の対立もありましたが、後半では
PKOや災害協力など協力面が話し合われ、いずれも内容の濃い議論ができました。
 まず国防政策については、中国は防衛的で、覇権主義ではないということでしたが、日本側からは、核や長距離兵器を持っているではないかと具体的な反論がありました。軍事費の透明性不足や潜水艦などによる領海侵犯についても指摘がありました。
 国防政策のとらえ方としては、日本は中国対日本やアジア地域として考えているのに対して、中国は対米を含めて考えている。どうやらそれが、防衛的か攻撃的かの見方の相違になっているようです。
 一方、後半の協力面については北東アジアは軍事的に安定しているか否かという議論もありましたが、互いの交流をさらに進めて、防衛白書担当者同士の交流や尖閣諸島に関するホットラインの創設、共同の災害救援部隊の設置、地震の共同研究など建設的な提案もありました。そのためにも、もっと情報公開が必要だろうと思います。