3日目全体会議:分科会報告(食料対話) 印刷 Eメール


生源寺眞一(東京大学大学院農学生命科学研究科長、農学部長)


 食糧問題は直近の関心課題でもあり、
50人もの参加者がありました。前半は食糧確保、後半は食の安全について議論しました。
 まず前半では、長期、中期、短期の食料事情について話し合われましたが、中国側が非常に詳細なデータを示したことに驚きました。その中には、はじめて知るデータもありました。それによると、中国は、穀物は自給できているということですが、大豆は世界の貿易の4割を購入しており、家畜の飼料や油として利用しているとのことでした。国内での食糧備蓄や輸送のロスに関するデータもありました。
 一方、日本についてはやはり農業が問題であり、農政をどうするかが議論になりましたが、共通の課題として人材の確保が挙げられていました。日本は魅力的な農業をどう作るか、中国では農家に対する社会的評価が低いので、それをどう引き上げるかが問題です。日中だけでなく、アジアでも農業の置かれている状況は似ていますので、零細で家族従事の農業をいかに効率化するかが課題なのだろうということです。ですから、アジアの今後の食生活のあり方は、地球全体の食糧バランスに影響を与えるでしょう。
 後半では食の安全について議論しました。現在、フード・チェーン(食の流通)は国境を越えていて、生産・加工・流通の履歴を確認することが難しくなっています。病害菌の汚染や食中毒に関する危機管理が大きな課題です。
 中国側からは、いかに食の安全確保の制度を整備してきたかが紹介されましたが、日本からは、ギョーザ問題に関して、実際の販売者であった生協のトップから生産管理体制の見直しが話されました。これに対して、中国側からは直接の言及がありませんでしたが、実情は理解してもらったのではないかと思います。中国でも、日本の食品安全委員会みたいな組織を作ったとの報告がありました。
 確かに、日本でも食に関しては最近いろいろな問題事例がありますが、それは零細な事業者が多く、管理、チェックがしずらいということでもあります。その状況は両国とも似ていますので、今後とも情報支援、連携の制度が機能するようにしていきたいということでした。



 

宋洪遠(農業部農村経済研究センター主任、研究員)

 私からは、中国側の発言の重点をお話します。
 まず異なるデータ、さまざまな立場から中国の食糧状況について、詳細なデータを公開しました。最近の中国では生産量、ストックともに増大しており、価格も低く安定しています。食料自給も十分できています。しかも、消費構造を変えて、それをストックや輸出に振り向けようと努力しています。そのためには、農民の資質を高めることが重要です。また、穀物とエネルギーの効率利用も欠かせません。それが現在の中国の問題点です。
 次に、食糧の安全確保についてですが、これは中日共通の課題だと思います。中国は現在、法律、基準、認証、検査の諸点について整備をし、原料、工場、製品の各段階においてチェックをしており、日本に輸出している食品について安全性は保たれています。

 これからも、日本側と安全に関する仕組みづくり、相互信頼に努めていきたいと思いますが、メディアの方々には、感情的、拡大的にならないような報道をお願いしたいと思います。